遊戯王OCGのメタゲームに新たな波が押し寄せている。モルガナイトデッキの強化に伴い、14年間再録のないスピリットモンスター《火之迦具土(ヒノカグツチ)》が買取価格300~900円で高騰中だ。新カード《咎を擁く魔瞳》の登場により、モルガナイトデッキが「重いけど強い」ロマンモンスターの新たな舞台となり、環境トップのスネークアイやティアラメンツをメタる可能性を秘めている。以下、その背景と戦略的意義を詳しくお届けする。
《火之迦具土》の高騰背景高騰の火種
モルガナイトデッキの核である《時を裂く魔瞳》(2枚ドロー+2回召喚)は、特殊召喚や魔法・罠を封じるメタモンスター(《虚無魔人》《威光魔人》)を展開するメタビート戦略で知られる。しかし、新規永続魔法《咎を擁く魔瞳》の登場がデッキの可能性を飛躍的に広げた。このカードは、レベル5以上のモンスター召喚時のリリースを不要にし、魔法・罠の発動コスト(ライフポイント)を免除。さらに、墓地のモルガナイト魔法を除外して相手モンスターの攻撃力を0にする効果で、戦闘を通しやすくする。
この恩恵を最大限に受けたのが、レベル8のスピリットモンスター《火之迦具土》だ。
従来、スピリットモンスターは特殊召喚不可やエンドフェイズの手札戻りにより競技環境での採用が限られていた。しかし、《咎を擁く魔瞳》のリリース免除と《時を裂く魔瞳》の2回召喚により、毎ターン再召喚が可能に。攻撃力2800の高い打点と、戦闘ダメージを与えた際に相手の手札を全て捨てさせるハンデス効果が、環境トップデッキへの強力なカウンターとして再評価されている。
ハンデス効果の破壊力
2025年6月時点の環境は、スネークアイ(《蛇眼神殿スネークアイ》軸の展開力)やティアラメンツ(融合+墓地リソース)が席巻。《火之迦具土》のハンデス効果は、これらのデッキの手札リソース(《灰流うらら》《原罪のディアベルゼ》など)を一掃し、コンボを寸断する。特に、《瞳の魔女モルガナ》の攻撃無効化や攻撃力0効果と組み合わせれば、戦闘ダメージを通すハードルが下がり、ハンデス成功率が向上。モルガナイトデッキがランキングデュエルで優勝を記録し、その要因として《火之迦具土》の採用が挙げられている。
他のスピリットモンスターも注目を集めており、《八俣大蛇》(戦闘破壊でドロー、買取50~150円)や《砂塵の悪霊》(スピリットサポート、買取50円)がモルガナイトデッキの「スピリット軸」を強化。「モルガナイトスピリット」とも呼べる新アーキタイプが誕生しつつあるのかもしれない。
市場動向では14年ぶりの価格を押し上げ
《火之迦具土》の買取価格は、2024年末の200円から最大900円(ウルトラパラレル)に急騰。背景には、2011年の『BEGINNER’S EDITION 2』以来14年間再録がない希少性と、モルガナイトデッキの人気急上昇がある。Xのトレカショップ投稿によると、《時を裂く魔瞳》(100~700円)や《神の宣告》(10~400円)も高騰中。コレクター需要も後押しし、ウルトラレアやパラレルレアは今後も価値を維持する可能性が高い。ただし、2026年の再録パック(例:『RARITY COLLECTION』)で収録されれば価格は安定するかもしれない。
モルガナイトデッキは、初動安定性(《瞳の魔女モルガナ》のサーチ9枚体制)と柔軟なメタモンスター展開で環境に食い込む。一方で、罠依存の高さや《無限抱擁》への弱さが課題。《火之迦具土》はハンデスによる逆転力を提供するが、戦闘ダメージ依存の効果は除去に弱い。プレイヤーは《砂塵の悪霊》や《八俣大蛇》を併用し、スピリットシナジーを最大化することで安定性を高めたい。
今後、新たな高レベルスピリットモンスターやメタモンスターの登場で、モルガナイトデッキはさらなる進化を遂げる可能性がある。課題文で「強力な上級・最上級モンスターが出る度に強化される」とあるように、《暗黒のマンティコア》や《混沌の黒魔術師》など、過去のロマンカードが再評価される日も近いかもしれない。