『黒魔術の護符』の効果判明！考察とブラマジサポートの真価を追う

2025年8月号のVジャンプ付録として登場する新規カード《黒魔術の護符》。その効果は一見すると単なる対妨害罠に見えるが、構造を読み解き、【ブラック・マジシャン】というテーマの特性に落とし込んでいくと、これは“ブラック・マジシャン”を冠するカード群の隠れた弱点を補うために設計された、極めて精緻なメタ設計の結晶であると断定できる。

《黒魔術の護符》の効果

通常罠でこのカードは手札の魔法使い族モンスター１体を相手に見せて、セットしたターンに発動する事もできる。
(1)：「ブラック・マジシャン」のカード名が記されたカードの効果の発動にチェーンして、モンスターの効果が発動した時に発動できる。その効果を無効にし、このターン、そのモンスターと元々のカード名が同じモンスターが発動した効果は無効化される。
(2)：このカードが墓地に存在する状態で、自分が「ブラック・マジシャン」を特殊召喚した場合、２５００ＬＰを払って発動できる。このカードを自分フィールドにセットする。

【ブラック・マジシャン】において「伏せの存在」が心理的圧力を生むのは既知の事実だが、このカードの登場でそのプレッシャーは桁違い。今回もブラマジサポートとしての採用となる。手札の魔法使い族1体を公開すればセットターンに発動可能であり初動に強い。また《ブラック・マジシャン》と名の付くカードの効果発動にチェーンして発動されたモンスター効果を無効にし、さらに同名モンスターのそのターン中の効果発動もすべて無効にするのは利点であり墓地にある場合、《ブラック・マジシャン》を特殊召喚すれば2500LPを払って自身を再セットできるのでライフコストを検討すれば問題ないだろう。

魔法使い族公開による即時発動

このカードが「セットしたターンに発動できる」効果を持つという事実は、【ブラック・マジシャン】にとって極めて重要である。というのも、【ブラック・マジシャン】は基本的に罠ビート寄りの中速デッキであり、《魂のしもべ》《黒の魔導陣》《マジシャンズ・ナビゲート》等、サポートカードの多くが遅効的で、相手に対して「待ち」の姿勢を強いられる。しかし《黒魔術の護符》は、たった1枚の魔法使い族の公開という、【ブラック・マジシャン】ならまず満たせないことのない条件で、この「待ち」の制約を乗り越え、能動的なカウンター罠として即応することができる。

ブラック・マジシャンにチェーンされたモンスター効果に対するメタ

このカードの(1)の効果は、《ブラック・マジシャン》のカード名が記されたカード（例：《黒の魔導陣》《永遠の魂》《マジシャンズ・ナビゲート》《マジシャンズ・ロッド》など）の効果発動にチェーンしてモンスター効果が使われた場合に、それを無効にし、同名カードの同ターン内の全発動を封殺するもの。ここで注目すべきは、チェーンに乗った効果しか無効にしないのではなく、「その後の同名モンスターの効果すべてを無効化」する点である。

《灰流うらら》を無効にし、そのターン内のすべての《灰流うらら》効果を封殺
《増殖するG》を無効にし、それ以降の特殊召喚ドロー効果を無力化
《ディメンション・アトラクター》を封じ、墓地利用を確保

など、“1対多”の制圧性能を発揮できる。つまりこのカードは、ただの1:1のカウンターカードではない。「1:多の情報アドバンテージの抑制」を可能にしており、《ブラック・マジシャン》が苦手とするターンを跨いだ粘り強い手札誘発の波を一掃できる。

墓地からの再セットが強い

黒魔術のそして極めつけが(2)効果。ブラック・マジシャンを特殊召喚するだけで、墓地のこのカードをライフ2500で蘇生＝セットできる。

回数制限がない
→ LPがある限り、ループ可。
除外されない
→ 一般的な罠の「自己再利用」は除外などの制限が付きやすいが、このカードにはそれがない。
“特殊召喚すればよい”
→ 《マジシャンズ・ソウルズ》《永遠の魂》《マジシャンズ・ナビゲート》など、【ブラマジ】のギミックで容易に満たせる。

この3つの要素が合わさることで、《黒魔術の護符》は「1度きりの罠」から「リソースを削る代わりに永続運用可能な盾」へと進化している

強いメタの強化

【ブラック・マジシャン】において、「伏せの存在」が心理的圧力を生むのは既知の事実だが、たとえば、通常であれば《黒の魔導陣》を発動すれば、対戦相手はとりあえず《うらら》や《墓穴の指名者》を構えるだろう。しかし《黒魔術の護符》の存在を知っていれば、下手に《うらら》を打てば、デッキからのサーチ＋妨害封殺などリスクを孕む。結果として、「先撃ちの誘発」が抑止される。これにより、プレイヤー側は《魂のしもべ》の最大ドローを狙うなど、後出し有利な展開プランが選択しやすくなる。