2025年10月の遊戯王大会環境は、大規模改訂と新規テーマの参入によって、勢力図が大きく塗り替えられつつあります。ここではTCG関連で働いていた経験も含め、環境がどう動くかを考察。

これまでの環境トップ常連であった【VS】【ドラゴンテイル】が調整を受けたことで、一強状態は解消。代わりに、従来では「あと一歩届かなかった」テーマたちが再び脚光を浴び始めている。とりわけ注目なのが、依然として安定感を誇る【魔獣(ヤミー)】、リソース性能を武器に再浮上する【巳剣】、そして爆発的な展開を誇る【月光】だ。
一方で、環境は単純な火力勝負から「リソースと誘発の駆け引き」へと移りつつあり、構築力とプレイングの精度が勝敗を分ける時代に突入している。制限改訂によって多くのデッキがリペアを迫られる中、プレイヤーは“柔軟に動けるテーマ”を選び取る必要がある。この記事では、2025年10月の大会シーンで活躍が予想される注目テーマたちを、環境変動の背景とともに深く掘り下げていく。
遊戯王の環境分布考察

2025年10月の遊戯王環境は、かなり面白いことになっている。ここ数か月で行われた制限改訂により、長らくトップを走ってきた【VS】や【ドラゴンテイル】が一歩後退。結果として、これまで「あと少しで環境入り」と言われていた中堅テーマたちが一気に浮上してきた。まさに今は、どのデッキが主役になってもおかしくない“再編期”だ。
その中でも注目を集めているのが、安定感と器用さが光る【魔獣(ヤミー)】、汎用出張でも存在感を放つ【巳剣】、そして火力で押し切る【月光】の3テーマ。それぞれに環境の追い風が吹いており、デッキ構築次第でトップを狙えるポテンシャルを秘めている。また、【M∀LICE】や【ライゼオル】のような一癖ある新勢力も無視できない。
火力で押すか、制圧で固めるか、それともリソースで粘るか。10月の大会環境は、どの方向にも勝ち筋があり、プレイヤーの個性がより強く反映される時期になっている。今月は“デッキ選び”そのものが勝負の鍵を握ると言っていいだろう。
群雄割拠の2025年10月「ヤミー」と「巳剣」を軸に動く
2025年10月の遊戯王OCG環境は、9月21日発表・10月1日適用のリミットレギュレーションによって大きな転換期を迎えた。
禁止カードの《魔獣の懐柔》、準制限《ヤミー★スナッチー》など、環境の支配者だった「ヤミー(光属性獣族シンクロ)」は明確な弱体化を受けたものの、依然としてCS上位を独占している。非公認大会では入賞率35〜44%、分布率25〜30%を維持し、規制後でも「最強」の座を譲らない安定感を見せる。
対する新星「巳剣(ミツルギ)」は儀式を軸にした爆発力と柔軟性で追随し、デモンスミスやライゼオルを組み合わせた混成構築が主流化。後攻突破力とリソース戦に優れ、環境の二強を形成している。これにM∀LICE、閃刀姫、ドラゴンテイルといった中堅勢が続き、かつての一極集中から多様化の兆しを見せ始めた。
全体としては「ヤミー vs 巳剣」を中心に、戦術・構築の差異で勝敗が決まる群雄割拠の時代に突入している。
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大会名
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日付
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参加者
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ヤミー入賞率
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ミツルギ入賞率
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優勝デッキ
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備考
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|---|---|---|---|---|---|---|
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第364回太陽CS (東京)
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10/20
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18
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50% (トップ2/4)
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0%
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閃刀ヤミー
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ヤミー2種で決勝独占。ミラーマッチ多。
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はいのCS (中四国)
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10/19
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~50
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20%
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30%
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巳剣デモンスミス
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ミツルギ混ぜ物優勢。ヤミー入賞0。
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ダクロCS (中四国)
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10/19
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~40
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25%
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35%
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巳剣ライゼオル
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分布でミツルギ圧倒。ヤミー安定。
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第16回すりみCS
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10/17
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43
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15%
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25%
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M∀LICE
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ミツルギ溟界混ぜで賞。分布1デッキ多。
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kinta CS (チーム)
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10/5
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~30/チーム
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40%
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20%
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ヤミー
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ヤミー7-0優勝。ミツルギ不利報告。
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アマガサCS (岡山)
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10/20
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~60
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30%
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28%
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ヤミー
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中四国Tier: 両Aランク。
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- ヤミー入賞率平均: 35%前後。規制後も「可愛いから許す」「ソリティア強いが平和」と好評。 ミラーマッチで入賞しやすく、CS全体の優勝シェア1位。
- ミツルギ入賞率平均: 25-30%。混ぜ物(スミス/ライゼオル)で手数増、ヤミー有利だが「規制待ち」の声。 分布急増も、純構築は不安定。
全体的にまだまだヤミー環境なのは変化がない様子だった。
最強デッキランキングTier
現環境における魔獣ギミックは、総じて“パワー低下とメタの分散の板挟み”にあるがm禁止カード行きでK9ギミックの減少や月光増加は向かい風、VSの弱体化とドラゴンテイルの低下は追い風。トータルで見れば五分かやや不利。ライゼオルや巳剣の台頭を考慮すると、デッキ単体の力では厳しいが、ギミックとしての出張性能は依然高い。メタの隙間に潜り込み、ピリレイスやリンクリボーなど新しいルートで再構築することで、再び環境上位に食い込む可能性も残されている。
S Tier:「ヤミー」──規制を超えてなお頂点に立つ獣
「ヤミー」は《魔獣の懐柔》禁止により初動札の安定性を削がれたが、誘発を多めに採用することでバランスを取り戻した。1枚初動の多さと展開力の高さは健在で、先行時には8妨害盤面を構築する安定性を維持している。

特に《ヤミー★スナッチー》準制限後も、トラップ誘発や《D.D.クロウ》《屋敷わらし》を搭載した構築が主流化し、ミラーマッチや巳剣対面でも崩れにくいのが強みだ。10月中旬の太陽CSでは決勝がヤミーミラーとなり、全国的にも優勝率・入賞率ともにトップ。コミュニティでは「懐柔禁止でも影響なし」「可愛いから許す」という極端な意見が飛び交い、規制を受けてもなお“最強であることを受け入れられている”テーマといえる。10月25日発売の『BURST PROTOCOL』で追加される《アシスト★ヤミー!》が環境に再び嵐を呼ぶ可能性も高く、今後もメタの中心であり続けるだろう。
A Tier:「巳剣(ミツルギ)」は混ぜ物構築が切り拓く後攻メタの最前線
「巳剣(ミツルギ)」は10月環境最大の上昇株。
純構築こそ規制の影響を受けなかったが、デモンスミスやライゼオルとの混成型が主流化し、ヤミーに次ぐ分布率20〜25%、入賞率25〜30%を記録している。

特に《デモンスミス・クロウリー》による儀式展開と《ライゼオル》による連続素材化が噛み合い、後攻でも盤面を切り崩せる突破力を発揮。ヤミーへの明確なメタとしても機能するが、構築の難度が高く、ミラーマッチでの不安定さも指摘される。CS報告では「はいのCS」や「ダクロCS」で優勝例を重ねており、単純な強さではヤミーに肉薄。規制待望論が浮上するほどの使用率を誇り、「手数で勝つ」儀式テーマとして確かな地位を確立した。ただし環境が成熟するにつれ、混成ギミックのバリエーションが飽和しつつあり、11月以降は純構築の再評価が始まる可能性もある。
B Tier:M∀LICE・閃刀姫・ドラゴンテイル
中堅Tierに位置するM∀LICE・閃刀姫・ドラゴンテイルの3テーマは、トップ層のメタ読み次第で順位が大きく変わる存在だ。

M∀LICEは炎属性規制の影響を免れ、関西圏を中心に分布を拡大。エニアクラフト型のコントロール構築が注目を集めつつあり、すりみCSで優勝を果たすなど実績も十分。閃刀姫はヤミーに対して有利な誘発構築が研究されており、安定性の高さから根強い人気を誇る。ドラゴンテイルは前期のトップからやや後退したものの、混ぜ物構築や儀式連動によって再浮上の兆しを見せる。これらのテーマに共通するのは「環境上位の隙を突ける柔軟性」であり、メタ読みと構築力次第でAランク入りも狙える潜在力を秘めている。
現状では使用率5〜10%、入賞率15〜25%前後だが、11月の新カード追加次第で一気に勢力図を塗り替える可能性がある。
C Tier:リシド・月光・K9は規制抜けと個性派構築の台頭
環境下位に分類されるC Tierのテーマは、一見マイナーながら個性的な立ち位置を確立している。リシドは罠ビートを軸にした構築が一定の支持を得ているが、展開速度の遅さが課題。
とはいえ、環境の高速化が緩和された今、地道な制圧で入賞ラインに食い込む余地がある。月光は新規《月光舞獅子神姫》の登場で一気に再評価され、融合展開の爆発力を活かしてヤミーに強く出られる点が注目される。K9は規制を受けつつも混成構築でしぶとく残り、トーナメントでの“分布1入賞”が増加。いずれも使用率は1〜5%前後と少数派だが、意表を突く構築力で結果を残すプレイヤーが増えており、「穴埋め枠」から「対メタの奇襲枠」へと進化しつつある。
まとめ:10月環境は「静かなる乱世」
2025年10月の遊戯王OCG環境は、表面上はヤミーと巳剣の二強だが、内側では中堅・下位テーマの再評価が進む「静かなる乱世」となっている。
規制により先行一強が緩和され、後攻リソース勝負が重視される構図が生まれたことで、誘発カードやサイド調整の巧拙が結果を左右するようになった。ヤミーは“可愛い最強デッキ”として未だに君臨する一方、巳剣はプレイヤーの創意によって強さを増す可変的なテーマ。M∀LICEや月光のような「規制をすり抜けた勢」が次代を担う可能性も見逃せない。
10月25日発売の『BURST PROTOCOL』ではヤミー新規が登場予定で、再びメタが激しく動くことは確実だ。環境は流動的であり、いま最も求められるのは「構築力」と「対応力」。デッキ選択の妙が勝敗を分ける、プレイヤーの腕が試されるシーズンが幕を開けているが実際にはTCG市場で言うと「ヤミーのパックは売りたい」のが現状の遊戯王なので『1月規制でもまだ動く可能性は高い』のが個人的な予想。
K9などの新規テーマを含めて市場を
