2025年10月発売のパック「BURST PROTOCOL」で登場した通常罠《舌先減少したさきげんしょう》。一見するとユーモラスな名前のカードだが、その実態は「カード名を宣言する」効果をピンポイントに咎める、極めて特殊なメタカードだ。ここではその効果の実用性と、名称・イラストに込められた遊戯王OCGらしい言葉遊びを深掘りしていく。
宣言効果を狙い撃つ微妙な“ピンポイントメタ”
通常罠
(1):相手がカード名を1つ宣言して発動する効果を発動した時に発動できる。
その効果を無効にする。
その後、自分は宣言されたカード1枚をデッキから手札に加える事ができる。
(2):セットされているこのカードが相手の効果で破壊された場合、
相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの攻撃力を500ダウンする。
このカードの(1)の効果は、相手が「カード名を宣言して発動する効果」を発動した際にチェーンして発動でき、その効果を無効化するというもの。さらにその宣言されたカードが自分のデッキに存在する場合、それを手札に加えられるという、意外とリターンの大きい構成になっている。
大きなメタとしてみると《抹殺の指名者》や《原石の皇脈》など、カード名を宣言するギミックを多用するカードが増えており、メタカードとしての需要は決して低くない。特にミラーマッチや、汎用カードを宣言して動きを止める場面では、サーチによる“逆利用”が成立するため、使い方次第で一気にアドバンテージを稼ぐ可能性も秘めているが、指名者よりも墓穴を対処したい場合もあり指名者のみ対策するカードとして使うのはかなりリスキー。
あるとすればミラーでの回収効果。先行伏せでカードサーチを止める事が出来ればそのままアドバンテージになるので初動つぶしの1枚としてみる事も出来そうかも?
控えめすぎる(2)の効果と、その元ネタ
(2)の効果は、セット状態で相手の効果によって破壊された場合、相手フィールドの表側モンスター1体の攻撃力を500下げるというもの。発動トリガーが受動的である上、効果自体も小規模で、戦局に与える影響はごくわずかだ。だが、これは単なる“おまけ効果”ではなく、真DM2(デュエルモンスターズII)において、リバース時に攻撃モンスターの攻撃力を500下げる効果のオマージュ。
ある意味ではオマケ効果としてみるのがよさげだけどオマージュでカード効果を再現されているのはうれしい。
「舌先現象」と「減少」の言葉遊びは用語をもじったOCG的センス
《舌先減少》というカード名は、一見意味不明に見えるが、実は心理学用語の「舌先現象(Tip of the Tongue phenomenon)」をもじったものだ。「思い出したいのに言葉が出てこない」という状態を表すこの現象を、“舌が減少して言葉が出ない”というダジャレで再構築しているのがこのカードの妙味だ。
「宣言」という行為そのものが「思い出す」動作とリンクしており、相手が宣言した瞬間にその効果を“忘れさせてしまう(無効にする)”という構造は、まさにこの現象をメタ的に体現している。遊戯王OCGらしい語感遊びの妙が光る一枚と言えるだろう。
26年ぶりの《舌魚》再登場らしいです。
最後に注目したいのは、イラストに描かれた《舌魚》の姿だ。1999年当時の不気味なタッチとは異なり、今回の《舌魚》はどこかコミカルで、驚きながら短くなった舌を見つめている。26年という時の流れの中で、OCGのイラスト表現がどれほど洗練され、時にユーモラスな方向へ進化してきたかを象徴する一枚でもある。
最近は昔のカードを出すとネタになるからって意味で出す感じが出てきていますが、TCGの深い遊び心を味わえる好例といえる。最近リメイクも多いしメメントでリメイクもされるので結構楽しみですよねー
